ヤングケアラーの課題~外国にルーツのある若者の場合
ヤングケアラーとは、家族親族の世話や介護をする18歳未満の子どもたちのことです。厚労省と文科省は2021年12月から全国に調査をかけた結果、中学生(2年生)の5.7%、17人に一人、高校性(2年生)の4.1%、24人に一人がヤングケアラーであるとしています。この春、このような発表があり少なからず驚いたのですが、私たちの身近では気付くには難しい状況です。だからこそ、積極的な対策が求められます。現在のところ9自治体でヤングケアラーについての条例化が進んでいます。
12月12 日、「ケアラー・ヤングケアラー支援の現状と課題に解決に向けて」というオンラインシンポジウムがありました。パネラーからはヤングケアラーへの公的支援制度の必要性や教育委員会の積極的な対応を求める声がありましたが、特に今回は、外国にルーツのある子ども達のヤングケアラーの存在をクローズアップして進行されました。
二人の大学生の体験談がありました。一人はスペイン語圏の親を持ち日本で生まれ育った方で、もう一人は中国残留孤児の3世の方です。どちらの方も現在大学生ですが、これまで外国出身の親のために面談や生活面での様々な事の相談に対応し、通訳をせざるを得なかった。そのため年齢以上の過重な責任を持つ立場になる事で、同年代の子ども達より大人の視点を持つようになった。そんな自分がヤングケアラーだと気付かなかったといいます。今後自分が独立したとき、残された家族が心配であるとの言葉が印象的でした。子どもが家族の面倒を見る事を当然とするのでなく、その困難を社会で支える仕組みが求められます。一方で国籍問題により、職業選択の自由が保障されていないなど、ケアを経た若者が将来を考える時多くの解決すべき課題があります。
外国にルーツを持つ若者達からの、失望を感じつつ生活している現状の訴えは、多文化共生を実現するための取り組みを加速的に進めることを求めていると感じました。ケアラー問題はもとより見過ごされがちな子ども達への支援は、相談を待つだけではなくアウトリーチを積極的に進め対策をとる必要があります。厚木市には多くの外国籍児童・生徒が学び、その生活があり課題もあります。そこに市民の力で役に立てることはあるはずで、探っていきたいと思います。