直接請求代表者 山本智子さんの意見陳述 原稿

2005年11月6日 22時47分 | カテゴリー: 活動報告

前半

 私は、「住民基本台帳の閲覧に関する条例を作る直接請求」の請求代表者山本智子です。本日は今回の直接請求に対してこのように意見を述べる場をいただき、ありがとうございます。
今回私たちは住民基本台帳の閲覧等の請求に関する条例を作るために、現行の要綱ではなく、商業目的の閲覧の禁止及び閲覧について制約をかけられる条例案をもって直接請求を行います。

 さてこの7月11日から始まった約一ヶ月間に渡る直接請求につきまして、私たちが運動をおこしたきっかけとその現状についてお話いたします。
 私たちの日常の生活において、ここ数年間差出人が不明だったり、まったく記憶にない会社・企業・団体から様々なダイレクトメールや勧誘の電話などが入るようになりました。「おかしいな」と上薄気づいてはいたものの、何の対処も見出せず過ごしてまいりました。今年に入り名古屋では暴行目当ての犯人が、母子家庭の家を訪問し、音楽教材の販売だからといって入り込み、在宅の女子に暴行を働いた事件が起こりました。逮捕後この犯人の住まいでは住民基本台帳の写しが発見されました。犯行目的で住民基本台帳の閲覧をし、その結果不幸な事件が起こってしまったわけです。また時期を同じくして全国的にいわゆ振り込め詐欺・オレオレ詐欺といわれるような詐欺事件が続発しました。
一時はブームのように連日テレビや新聞をにぎわしていましたが、最近では以前ほど見聞きする回数が減っているように感じますが、実際のところはまだまだ続いているのが現状です。つい数日前にも私の自宅に夜間に子どもの名前と学年を確認する電話がありました。まだこんなことをやっているのかとおかしく思い情報の出場所を聞きますと、神奈川県の高校生のリストが出されているので、そこから情報を手に入れたと返事がありました。一見公の機関から情報が出ているような錯覚さえ感じる丁寧でそつのない話し方ではありましたが、個人の情報が出回っていることには変わりありません。
さてこのように身近に発生した様々な不愉快な事実があまりに多いため私たちはその情報の出場所を探りました。自治会の名簿、学校のあらゆる名簿、サークルの名簿等・・・・・。でももっとも的確に合理的に怪しまれずに個人の情報が入手できるのが「住民基本台帳の閲覧」という制度を利用することだったのです。
住民基本台帳には個人の住所、氏名、生年月日、性別の4つの情報が記載されております。厚木市の場合は地域別、町名順の五十音順ということです。一般的には閲覧した場合この4つの情報のみが出るように思いますが、実はこの名簿の特徴としてはこの4つ以外にも読み取れる内容を持っているのです。たとえば母子家庭、高齢者の所帯、独身者の所帯など市民それぞれの生活の側面が透けて見えるようになっています。見知らぬ他人が自分の家庭の構成を知っていると考えるとぞっとするのは私だけではないと思います。

「住民基本台帳法」には「何人でも閲覧を請求できる〔第11条〕」と明記されており、請求は私たちの権利として認められています。そもそもこの法律が制定された時点では、おそらく現在のような利用法が、また個人の情報が簡単に受け渡しされるような事になろうとは想像が出来なかったではないかと思います。(第1条)では、住民の居住関係の公証・・、また住民の利便の増進・・、国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする。さらに(第3条)では市長村長の執行機関は住民基本台帳に基づいて、住民に関する事務を管理し、又は執行するとともに、住民からの届出その他の行為に関する事務の処理の合理化に勤めなければならないと記載されています。つまり住民基本台帳の管理運用については自治事務として処理されることが明記されています。
しかし、この法律には〔第11条〕請求が不当な目的によることが明らかな時、また住民基本台帳の一部の写しの閲覧により得た情報を不当な目的に利用される恐れがあるときには、請求を拒むことが出来るとも記載されています。
つまり、誰でも閲覧が可能であるが、目的が不当なときは閲覧請求を拒否できることがうたわれています。

幸い厚木市においては、市民生活の安全に配慮をいただき、閲覧に関する厳しい規制をかけた要綱が作られました。このような積極的な姿勢に対しては私たち市民の立場として大変に評価できるものと思いました。昨年1年間では約40000件。月平均約3200件の閲覧件数がありましたが、今年の要綱対応後は月平均262件となり、相応の成果と思います。しかし基本的にまだまだ情報が出続けることに対して私たちは不安を覚えました。
ところで総務省では春から住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会を設け先ごろ答申が出ました。答申によりますと、「原則公開」となっている現制度を廃止し、「原則非公開」とする改正法案が2006年度の通常国会に提出され、7月に施行される予定です。少しは進んだなと思いますが、世の中そう甘いものではありません。ほとんど同時期に全国的に多くの地域で閲覧に対する窓口が狭められており、今までこの制度を活用してきた業者は根本的な営業活動の幅を狭められてきていることを死活問題と捉えています。そこで残された期間をフルに活用して名簿の情報を取ろうとすることが考えられます。いわゆる名簿の商品化が進むことが危惧されます。今のところ1件に対して20円~80円の価値で取引が出来るとか付随情報をつけてグループ分けすると上限がないほどの値段で取引されていることもあると聞きます。たまたまかかってきた電話の主にどうして家の番号が分かったかと聞いてみると、「・・そういう情報を出している企業がありますので・・・」と返事が返ってきたこともありました。現実は私たちが思っていた以上に個人の情報が高い値で売り買いされているのです。
こうなりますと、来年の法改正までにどれだけたくさん駆け込み閲覧がされるかが私たちの最大の危惧することとなりました。こういった情報はすでに今年の6月末には市民の知るところであり、私たちは残った期間の中でどれだけ市民生活の安全を守ることが可能かを考えました。本来ならば議会で決めてもらえばもっと早く結論が出たことと思います。しかし議会は市民の代表者で成り立っているにもかかわらず、具体的な動きが見えませんでした。そこで、市民一人ひとりが行政に対して発言できる権利の唯一の手段である「直接請求」で市民の意見を出すことにしました。このまま約1年待てば、国の方向が出るので待つことも可能です。しかし大量閲覧が確実視される現状を一刻も早く変えたいと思い私たち市民の権利を使いました。(後半につづく)